Anthropic は 10 月 18 日(北京時間 19 日未明)、自社株の一部を新たに設ける Anthropic Public Benefit Fund に拠出すると発表しました。株主の承認を条件に、まず発行株式の 5% を拠出し、その後は会社の価値があらかじめ決めた基準を 50% 上回るごとに、取締役会の判断で 2% ずつ追加できます。共同創業者と従業員がすでに約束している寄付と合わせると、Anthropic の株式の約 20% が公益に充てられると同社は説明しています。

何が拠出されるのか

今回の発表で拠出されるのは 5% で、これにはまだ株主の承認が必要です。その後の 2% の追加は取締役会の判断によるもので、基準となる評価額は明らかにされていません。評価額の節目や基金の仕組み、ガバナンスについては、今後数か月のうちに詳しく公表するとしています。

約 20% という数字は、今回の 5% に以前からの約束 2 つを加えたものです。Anthropic の創業時、共同創業者たちは保有株式の 80% を寄付すると約束しました。また同社には、従業員が株式の寄付を約束すると会社が同額を上乗せする制度があり、従業員の約半数が参加しているといいます。評価額の節目に応じて基金に追加される分は、この約 20% とは別になります。

Anthropic は、持ち分が増えていくこの仕組みを、テック企業が経営陣に与えることの多い段階的な報酬になぞらえ、その株式を代わりに公益に向けると述べています。

資金の使い道として挙げているもの

Anthropic はパブリック・ベネフィット・コーポレーション(公益企業)で、使命に沿った活動の多くは社内で行っているとしています。たとえば安全性や解釈可能性の研究、応用的な生物医学研究、非営利団体や科学機関向けの Claude の割引などです。新しい基金は、より柔軟に、より大きな規模で取り組むためのものだといいます。例として同社は、従来型の非営利団体への大口寄付や、特定の人々への直接の分配を「検討する可能性がある(might explore)」と書いています。

その一例として挙げているのが労働市場です。Anthropic は、AI は大きな経済的価値を生む一方で、多くの働き手を不安定にするおそれもあると書いています。この問題の研究と対応にはすでに 2 億ドルを投じると約束しており、AI の進歩の速さを考えると、より大胆な取り組みが必要になるかもしれないとしています。ただし、誰に、いくら、いつ資金を出すのかは示していません。

基金の仕組み

基金は 501(c)(3) の慈善団体ではなく、Anthropic が全額出資する LLC です。さまざまな形の寄付を柔軟に使い分けられるようにするためだと同社は説明しています。また、この LLC が保有する Anthropic の株式は、米国内外を問わず、ロビー活動や政治献金には使わないとしています。このほか同社は、使命に向けたこれまでの取り組みを、近く公表するパブリック・ベネフィット・レポートで報告するとしています。