AnthropicはClaude Opus 5.5を9月22日に公開した。その約1週間後から、Reddit、X、GitHubで、モデルが発売時より明らかに劣化したという投稿が出始めた。あわせて、Claudeのサブスクリプションの利用上限が以前より早く尽きるという不満も出ている。本記事では、ユーザーの主張、この問題を測るために作られた公開の第三者トラッカーの結果、Anthropicが言ったことと言っていないことを整理する。内容はすべて北京時間10月21日10時40分ごろに確認した。

ユーザーの声

品質への不満は障害の前後に集中している。Claudeのステータスページには、北京時間9月29日22時21分から、claude.ai、Claude Code、Cowork、APIでエラーが増えたと記録されている。その数時間後の9月30日8時57分、Redditユーザーjuapsがr/ClaudeAIに「Opus 5.5 feels way dumber after today's outage, anyone else noticing this?」と投稿した。投稿は、モデルが「forgets things, makes mistakes, invents details that weren't even in the documents I gave it」とし、「like a quantized version or a completely different model」に感じたと書いている。400以上の賛成票を集めたが、サブレディットの自動要約は「pretty split down the middle」とまとめており、同意する声と問題ないという声がほぼ同数だった。r/ClaudeCodeにも「Opus 5.5 is Quite Degraded after the Outage」という同様のスレッドが立った。

Xでは、Rajath Gowda(buildwithrajath)が10月2日22時28分に「Anthropic may have NERFED Opus 5.5 BIG TIME」と投稿し、タスクの取りこぼしやコミット漏れ、「claiming work is done when it isn't」といった報告を並べつつ、「way too early to say」とも書いた。EnvolDevは画像系の「Eiffel Tower benchmark」をやり直し、10月4日に「it honestly feels like Opus 5.5 got little nerfed」と投稿したが、同じ投稿で「one run doesn't prove a nerf」とも述べている。再テストの結果は一致していない。SKatalystAIは9月22日に行ったコーディングテストを、同じリポジトリ、同じプロンプト、同じCursor環境で再実行し、どちらも9問中9問正解で、今回のほうが速く、使ったコンテキストも少なかったと報告し、「I can't reproduce the nerf」と結論づけた。

不満はGitHub上のClaude Codeのissueにも届いている。facitooが10月5日14時29分に立てたissueは「the model quality has degraded back to level of opus 5」と書く。そこでTANOSHITは、原因はモデルではなくClaude Codeクライアントの更新ではないかとするログを投稿し、自動更新後に1ターンあたりの思考トークンの中央値が下がり、旧バージョンに戻すと「restores quality」と述べた。これは1人のユーザーの測定で、スレッドにAnthropicからの返信はない。

利用上限への不満

もう1つの不満は利用上限だ。Redditユーザーchronerは9月25日、Max 5xプランで利用量が「like 3 -5 times faster」で減っていると書いたが、同じスレッドには逆に減りが遅いという声もあった。GitHubでは、Dougmayfair67が10月14日11時5分に「Opus 5.5 Usage Limits Exhausted Within 1-2 Days」というissueを立て、使い方を変えていないのに「draining between 30-50% per day」だと書いた。同じスレッドでleolim031はローカルのClaude Codeログからトークン数を集計し、5時間のセッションメーターが「got much stricter around Oct 13, while the weekly meter didn't change」と主張した。いずれもユーザーが自分のアカウントについて測った数字で、Anthropicは計測方法の変更を認めても否定してもいない。

NerfBenchは何を測っているか

NerfBenchは、開発者コミュニティBridgeMindによる第三者ベンチマークBridgeBenchのテストだ。Anthropicとは関係がなく、結果は目安であって、モデルが変わったかどうかの結論ではない。

BridgeMindが公開した手法によると、1回の測定で8分野50問のコーディングと推論の課題を各3回、計150回出題する。回答はツールやリポジトリを使わない1回の応答で採点する。見出しの「power」は正答率に出力トークン数と費用を組み合わせた値で、そのモデルの発売日の測定を100%として表す。BridgeMindは90%から110%を通常の揺れとし、同じ側に2回続けて外れた場合にのみ変化と判断する。制約もある。課題、テスト、回答は非公開で、BridgeMindは公開しないとしているため、どの課題で値が動いたかを外部から確かめられない。トークン数と費用がpowerに入るため、答えの質が同じでも長く答えれば値は下がる。対象は4モデルで、APIで測っており、不満を訴える人の多くが使うClaudeアプリやClaude Codeのサブスクリプションではない。ただしBridgeMindはサブスクリプション経由のテストを加えるとしている。

Opus 5.5の結果は次のとおりだ。9月22日の発売時の測定が100%の基準。9月27日は99.2%、10月1日は103.8%、10月2日は94.2%で、BridgeMindは北京時間同日21時29分に「94.2% is still inside normal variance, so we can't call it a nerf yet」と投稿した。10月4日は96.5%、10月9日は95.7%で、BridgeBenchはOpus 5.5が「the only model below its launch score」だとした。最新の週次投稿である10月16日21時26分には105.8%と報告し、「No nerfs detected」と書いた。これまでのOpus 5.5の結果はすべて90%から110%の範囲内にある。BridgeMindが10月15日に加えたフロントエンドのテストでは、同じ課題でOpus 5.5が発売時より26%多くトークンを使ったが、BridgeMindは結果を「way better」と評価した。

Anthropicは回答したか

公には回答していない。北京時間10月21日10時40分ごろの時点で、Anthropicのニュースページ、Claudeのステータスページ、XのAnthropicAI、Claude、ClaudeDevsの各アカウントに、Opus 5.5の劣化や上限の減りの速さに触れた発言は見つからず、上記2件のGitHub issueにもAnthropic社員の返信はなかった。ステータスページにはこの期間の障害として、9月29日の障害や、北京時間10月6日20時24分の「Elevated errors for Claude Opus 5.5」などが載っているが、いずれもエラーの記録で、モデルの品質変更を示すものではない。Anthropicが公式に述べているのは発表時の内容で、Opus 5.5はOpus 5より提供コストが低く、発売にあわせてPro、Max、Team、シート制Enterpriseの5時間上限を引き上げたというものだ。

自分の利用量を確かめる方法

上限の減りが速いと感じたら、まずAnthropic自身のツールを見るとよい。claude.aiとClaude Desktopの「設定 > 使用量」(Settings > Usage)には、5時間のセッション上限と週間上限の進捗バーと、それぞれのリセット時刻が表示される。利用枠は共通なので、Claude Codeの分も含まれる。

Claude Codeでは、/usageコマンドで同じプランの使用量バーが見られる。Pro、Max、Team、Enterpriseプランでは、最近の利用をスキル、サブエージェント、プラグイン、MCPサーバーごとに割り振った内訳も表示され、長いコンテキストやキャッシュミスなど直近の利用の10%以上を占める要因があれば改善策を示す。dキーとwキーで過去24時間と過去7日間を切り替えられる。Anthropicによると、これらの数字はその端末のローカル履歴から計算した概算で、claude.aiや他の端末の利用は含まない。/usageの上部のSessionブロックにはトークン数と、キャッシュミスを示す「Prompt cache (main)」の行がある。Anthropicの文書は、キャッシュの有効期間より長く間が空いた後の最初のメッセージは全コンテキストを処理し直すとしているので、ここは確認する価値がある。同じブロックの金額はAPI利用者向けで、サブスクリプションの請求とは関係ないとAnthropicは説明している。利用クレジットを有効にしている場合は、/usageに当月のクレジット支出も表示される。

Anthropicのコストガイドは、長いセッションで利用量が増える主な理由として、長いコンテキスト、キャッシュミス、定期タスク、サブエージェント、コンパクションなどを挙げている。個別アカウントの請求に関する問い合わせは、claude.aiのメニューにあるGet helpから行うよう案内している。

各プランの5時間上限と週間上限の仕組みは、解説記事「Anthropic Still Describes Claude Code Limits in Multiples, So Here's What Each Plan Gets」にまとめている。