目次

Agentがコードを書く速さは、チームが「マージしてよいか」を決める速さより先に進みがちだ。有用な問いは「あるforgeが一夜でGitHubに取って代わるか」ではなく、誰がマージを決めるか——AIレビュー点数、CIゲート、人手承認、あるいはその組み合わせである。2026年10月26日、Entire(CEO/共同創業者 Thomas Dohmke)はその問いに沿った独立Git forgeを開いた。公式は 今日からすべての開発者に利用可能 とする。当サイトでは 2026-10-27時点 の発表ニュースとワークフローブログに基づき整理しており、GitHub・GitLab・Cursor Originとの対照実測はしていない。

AIレビュー費用の近刊:CodeRabbit、11月8日まで組織あたり Deep Scan 利用を最大 $5,000 まで負担(総額 $1M)。

TrailsとPR:画面上で何が変わるか

古典的な Pull Request は diff が中心だ。コメントが時系列に積み上がり、CI状態がマージボタン付近に付き、人(と増え続けるレビューボット)がスレッドで議論する。Entireブログの論点は、Agentが変更の大半を書くと、そのタイムラインはAgentが読み返す監査ログに近くなり、開発者には「十分安定してマージできるか?」の信号が足りない、というものだ。

Trail はEntireの代替HUDだ。公式資料は、要件・セッション痕跡・コード変更・レビューを一つの場所に置く——線形コメント流よりパイロットの計器盤に近い——と書く。ワークフローブログの3ステップ:

  1. Trailを開く。 Entire上のバグ/機能要求から、または実装の前後にAgentから開始できる——「プッシュの準備ができたときPRを開く」に近い。Trailは複数リポジトリにまたがり、関連変更をまとめられる。
  2. プッシュごとに採点。 審査Agentがカスタム可能なevalsを走らせ、それぞれスコアと根拠を返す(Entireはフィギュアスケートの審査員に例える)。自社の多くのリポジトリで Security、Slop、Human Review Required などを使うとし、直近5回+現在を表示してワンショットのノイズを見える化する。
  3. findingsを閉じてからマージ。 Agentは重大度と修正案付きの findings を返せる。未解決は常に見え、解決済みは隠せるが取り戻せる。Agentも人も対処/dismissできる。人もPR同様にfindings/コメントを投稿できる。

オープンソースの Entire CLI がループに入る:コーディングAgentがfindingsを閉ループで直し、人が進捗を検証する。これは製品口径の要約であり、「高リスクdiffを永遠に読まなくてよい」という主張ではない。

ブログは審査Agentの下層に Claude Code や Codex などを使え、Daytona/E2B系の隔離サンドボックスで動かすと書く。当サイトはこれを Entire公式の審査スタック説明 として記すだけで、両ツールへのサイト内評価のお墨付きにはしない。料金・利用上限の対照は:Claude Code と Codex、どちらを選ぶ?料金と利用上限を比べてみた。

Gates:点数・テスト・人手承認はそれぞれ何を担うか

Gates はマージ方針レイヤだ。Entireはリポジトリ単位で有効化でき、例えば次を要求できるとする:

制御通常答えること単独では答えられないこと
AI評価スコア/findings審査AgentがSlop・Security・「人手レビュー要」を付けたか?未解決findingsは解消/dismiss済みか?自組織の脅威モデルに合うか?スコアは信号であり、セキュリティ保証ではない。
CI(Buildkite/Depot)このプッシュのビルド・テストは通ったか?関心のある失敗モードをテストが覆っているか?緑のCI=正しさの証明ではない。
人手承認名指しの人が残余リスクを引き受けたか?承認者は高リスク経路を実際に読んだか?承認は説明責任であり全知ではない。

平たく言えば:スコアはAgent審査ループが安定したかの表面化、CIは自動化ビルド/テストがまだ通るか、人手承認は「誰かがこのマージを所有する」スイッチだ。Entireの主張は、自信が高くリスクが低くfindingsが閉じたときにマージする——Agentが書いたdiffの全行を人が再読しなければならない、ではない、というものだ。規制対象や高リスクリポジトリに合うかはチーム判断であり、当サイトでは代行しない。

これも、脅し見出しを書かない理由だ。Agent成果に点数を付けマージをゲートする仕組みは、ワークフローの問い——人がAgentの全コミットを行単位でレビューし切れないとき、どう出荷を続けるか——に答えようとする。現行ホストが陳腐化した証拠ではなく、Buildkite/Depot変換がsecretsやランナー構成に合うか分からないうちにGitHub Actionsを捨てる理由でもない。

GitHub側の権限・マージ隣接の近刊:GitHub Copilot の Assisted permissions が一般提供開始。

BuildkiteとDepot:CIがTrailに載るまで

Entireは Buildkite と Depot と提携し、ビルド/テストをAgentのプッシュ速度に追いつかせる。公式ワークフローの要点:

  • Buildkite: CIはプロジェクト単位(複数リポで共有しがち)。接続後、毎回のプッシュがBuildkiteまたは自前基盤でビルドされ、結果がTrail上のチェックになり、失敗はマージを止められる。AgentはBuildkite API/CLI/MCPでループを回せる。GitHub Actions利用者は bk pipeline convert でワークフローを変換でき、全面書き換えは不要。
  • Depot: Depot CIはGitHub Actions互換ワークフローを、間にGitHubを挟まず走らせる位置づけ。Entireから接続後、depot ci migrate がActionsワークフローを発見してDepot CIへ昇格し、要レビュー項目を旗立てる;付随コマンドでsecrets/変数を取り込める。

どちらも「Agent findingsと並ぶCIゲート」であり、「CIが人の判断に取って代わる」ではない。当サイトではEntireのCI遅延や移行コストを実測していない。

ホスティング境界:今日はプライベート、公開とセルフホストは後

読んだ発表材料では:

  • Entire上でプライベートリポジトリを作成・移行・ネイティブホストできる。
  • 現時点のリージョン:米国、EU、インド、オーストラリア(公式はさらなる拡大をロードマップに書く)。
  • GitHubからミラーしてGitHubを真実源のままにできる、または移行できる(米国ミラーではDetach、entire-migrateプラグイン、あるいは手元でfetch/push)。
  • 公開リポジトリとセルフホストGitノードは今後/Road Ahead——ローンチ日に一般提供済みとしては扱わない。

OSSメンテナやオンプレGitノードが必要な企業にとって、今回の発表は明確にプライベートリポ優先だ。この2ページだけで公開forgeへの切替を計画しないこと。

まず試しつつソース・オブ・トゥルースは動かしたくないなら、ミラーを丁寧に読む価値がある。EntireはGitHub Appの認可、リポとリージョンの選択、GitHubを正規のままにしつつPRの上でTrailsを使う、と説明する。ブログは障害時にリージョンミラーからclone/fetchを続けられ、AgentはGitHub復帰まで entire/unmirrored/ 接頭辞のEntireネイティブブランチへプッシュできる、と書く。これはEntireの運用説明であり、当サイトが行った稼働実測ではない——だが「Trailsを試す」と「GitHubを離れる」が別決定だと分けるには足りる。

ベンダーの速度・メモリ主張

ニュースとブログは、当サイトがサイト内の実測/監査結論としては扱わない数字を二つ推している:

  1. プッシュ速度: GitHubより最大約 89×、Cursor Originより約 6× 速い、という開源ベンチ表付きの主張(Entire 418 pushes/sec vs GitHub 4.7、Cursor 65など)。口径はベンダー自己報告/ベンダー開源ベンチ。
  2. Continuous Memory: entire-graph(コードベース地図)と entire-brain(セッション記憶をグラフに結ぶ)で動く。Entireは自社テストでgraphが最大約71%のtoken削減と書く。これもベンダー主張であり、当サイトが行ったtoken監査ではない。

Continuous Memoryは製品アイデアとして理解する価値がある——セッションとプロンプトをリポジトリに同期し、Agentが新しいコンテキスト窓のたびに学び直すのを減らす——が、71%はEntire自測のラベルを外さない。2つの主ソースでもプラン料金・席料・CI秒課金の総額は未確認だ。この記事は購入・移行・GitHub離脱を推奨しない。

マージ方針を選ぶとき、Trailsをどう読むか

痛みが「AgentのPRがレビュアーの追いつく速さを超える」なら、Trailsはそのボトルネック向けだ:評価スコアを安定させ、findingsを閉じ、CIを緑にし、人手承認する。痛みが公開OSS貢献、セルフホストコンプライアンス、価格付き移行表なら、発表ページは空きを残しており——当サイトも答えを捏造しない。

Entireを採用しなくても先に回せるチェックリスト:

  1. 3つのマージ制御を分ける。 組織が既に求めるもの——自動レビューfindings、CI緑、名指し人手承認——と、今日どの失敗がマージを止めるかを書く。
  2. 「スコア」の意味を先に決める。 Agent eval(Entire上でも他でも)を入れるなら、橙色のSlopが「Agentが続けて直す」のか「人が見る」のかを決める。ゲート方針のないスコアはダッシュボードであり安全ではない。
  3. セキュリティレビューをスコアだけに任せない。 Security evalはトリアージとして扱い、高リスク経路・秘密・認証は人または専門レビューを残す。AIレビュー点数はコードセキュリティ保証ではない。
  4. ホスティングをリポ形に合わせる。 プライベート多リージョンは合い得る;公開OSSとセルフホストノードは現状まだ合わないかもしれない。
  5. プッシュ高速化とtoken削減スライドは、測るまでマーケ扱い。 予算に効くなら自前のプッシュ/tokenベースラインを取る。

Entireのプッシュ遅延、Continuous Memoryのtoken削減、CI移行コスト、日常のTrailレビュー品質については、当サイトではまだテストしていません。フィードバックはサイトフッターの管理人連絡先から受け付けています。